人工衛星による観測
衛星高度計のイメージ  GPSも人工衛星の一つですが、それとはまた違う人工衛星を使った測地技術が存在します。GPS衛星は高度約20,000qと非常に高いところを飛んでいますが、もっと低い軌道で地球を周回し、宇宙から地球を測る技術です。
 一つは、衛星アルティメータと呼ばれるもので、衛星から海面までの距離を3〜4cmの精度で測定します。衛星の高度はおよそ1,000qであることを考えると、東京-九州間を3〜4cmの精度で測ることと同じです。衛星アルティメータの軌道は正確に計算されているので、衛星から海面までの距離を測るということは、海面高の地球中心からの距離を正確に測っていることと同じことになり、今までなかなか精密に決定できなかった海洋部でのジオイドの決定や、海洋潮汐モデルの改良に役立っています。

 人工衛星が落ちてこないのは地球の重力と人工衛星の運動による遠心力がつりあっているからです。地球上の重力値は場所によって違いますので(衛星軌道上でも)、人工衛星の軌道は実はふらふらとしたものになってます。この衛星のふらふらを他の衛星(例えばGPS衛星)によって正確に測定できれば、間接的に地球の重力場を測定していることになります。

 このような発想による宇宙測地技術も実際に使われており、グローバルな地球重力場の決定から大規模な水循環の様子などなど地表で観測を行っていたのではちょっと無理だったようなことが可能になっています。
衛星重力ミッションのイメージ  今後、ますます宇宙測地技術は精度が上り、空間的により広範囲にわたって時間的な変化を議論するようなことが可能となるでしょう。

  参考HP:日本測地学会「測地学テキストWeb版」

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