重力を測る
 重力(重力加速度)は、地球の引力と地球回転の遠心力の合力で、その大きさは地球表面上でおよそ9.8m/s2(980Gal:Galは重力の単位。ガリレオ・ガリレイに由来)です。日常生活上では重力値はこの値で一定と考えても差し支えはありませんが、実際は重力値はさまざまな要因で変化します。
 具体的にいえば、地球上の緯度の変化、標高の違い、潮汐の影響、地下の様子、地下水分布・気圧変化・地形などなどの影響で重力値は空間的にも、時間的にも変化しています。測地学では、これらの要因によるわずかな重力変化を重力計により測定し、地球の重力場についてやその時間的変動などを議論します。
 これらの重力変化のうち、例えば、標高の違いによる重力値の変化はどの程度かというと、1cm標高が高くなると3.086μGal(0.00000003086m/s2)減少します。現在使われている重力計は、この変化を捉えることが可能です。地下構造の不均質によっては水平距離数qで重力値が数10〜数100μGal(0.0000001m/s2〜0.000001m/s2)変化します。このような空間的な重力変化を精度よく測定することにより、その地域の地下構造を推定します。また、時間的な重力変化に影響するものとしては潮汐(次のページ)や気圧・地下水等が挙げられます。気圧(大気の引力)が重力値に及ぼす影響は0.4μGal/hPa(気圧が1hPa変化すると重力値が0.000000004m/s2変化)程度であるといわれています。超高感度の超伝導重力計ではこの微小な重力の変化すら捉えます。
「重力を測る」の図 重力を測ることにより、目では見えない地下の様子を推定し、地球の内部構造を知ることが出来ます。
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