潮汐を測る
 地球潮汐とは月や太陽の引力の影響で、硬い地球が弾性変形する現象をいいます。海面が潮汐によって上下するのはよく知られていることですが、固体地球(つまり地面)も潮汐によって常に変動しているのです。この地球の弾性変形の結果として、地球表面上の1点(今あなたのいる所も)の地球中心からの距離(つまり地球の半径)は時々刻々と変化し、地球表面上の2点間の距離も絶えず変化し、また、地球表面近くの地殻は鉛直線に対して絶えず傾動しています。
 地球中心から表面までの距離の変化は重力計で、地表の2点間の距離の変化は伸縮計で、地表面の鉛直線に対する傾きは傾斜計でそれぞれ連続的に観測できます。
 地球潮汐による変動の量は、観測時期や場所によっても異なりますが、重力値でおよそ200μGal(0.000002m/s2)、伸縮変化で約10-8、傾斜変化で約0.06秒です。もう少し分かりやすくすると、体重60kgの人は12mg体重が変化し、東京・京都間513.6q(鉄道距離)が5.1o伸縮し、約10qの水平距離に対し3mmの勾配の変化に相当します。土地の上下変動はおよそ数10cmになります。
 地球潮汐は、このような地球物理学的な観測によって検出されるほか、天文学的な観測によっても検出することが出来ます。
 地球潮汐を連続的に観測することにより地球内部の弾性的ならびに粘性的性質を解明することが出来ます。
「潮汐を測る」の図 また、最近の観測機器の精度の向上により、きわめて正確に地球潮汐を観測することができ、理論地との比較を行うことによって、外核の流動などの地球内部動力学の研究が進められています。
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