重力の測り方
LaCoste Lomberg重力計による観測  重力加速度の値を正確に測定し、また、その値の微小な変化を検出するために、本研究室は3種類の重力計を所有しています。

 一つ目はLaCoste & Romberg重力計(左上図)です。この重力計は相対重力計の一種です。相対重力計はばねばかりの一種で、重力の変化によるばねの長さの変化を重力値の変化として検出します(museumのアスカニア重力計も同じくバネ式相対重力計)。LaCoste Lomberg重力計は、野外に持ち出せるほど小型に作られていますが、その測定精度はとても高いです(10μGal程度。0.0000001m/s2)。
 二つ目は超伝導重力計です。こちらも相対重力計の一種です。超伝導状態にした検出球を宙に浮かせて、その球の微小な位置変化を重力値の変化として捕らえます。超伝導重力計の感度は非常に高く、nGal(0.00000000001m/s2)程度まで達するといわれています。本研究室では、超伝導重力計を2基所有しており、現在1基は地球物理学教室の地下で連続観測をしており(下図)、もう1基はインドネシアのバンドンにて観測を行っています。赤道域で超伝導重力観測をしているのは本研究室のみで、その観測結果に期待がよせられています。 超伝導重力計
超伝導重力計の液体ヘリウムの交換作業
ヘリウム交換作業時の動画:AVI形式)
 三つ目は絶対重力計FG-5です。上記の2つの重力計と違いこの絶対重力計は、その名の通り、重力の絶対値を物体の自由落下を利用して測定します。超伝導重力計に比較すると若干精度は落ちますが、それでも現在の絶対重力計は数μGal(0.00000001m/s2)の精度で重力値を測定できます。現在、中国やインドネシアなど東アジアの絶対重力値の決定のために、この重力計はあちこち飛び回ってます。

 超伝導重力計と絶対重力計の両方を所有する研究機関は日本ではごくわずかです。これらを組み合わせた研究や、重力の微小な変化を使って地球深部のダイナミクスを解き明かしたいと思う人は、ぜひ、測地学講座へ。
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