GPSとは
Trimble社製
GPSコントローラーとアンテナ
GPS(Global Positioning System)とは、地球を取り巻く6種類の円軌道上(軌道高度は約20,200km)に配置された24個の衛星、それら衛星の追跡・管制装置、そして利用者までのシステム全体を指す言葉です。
元来GPSは、衛星から送信される電波信号を用いて、自分自身の位置を知るシステムとして開発されました。この技術は現在、船舶や航空機をはじめとして、宇宙の人工衛星やロケット、そして陸上の自動車や登山者にいたるまで幅広い範囲で利用されています。このように、利用者が自分の位置を実時間的に知るための利用法を、
単独測位または1点測位(point positioning)と呼びます。
しかしGPSは、この本来の利用形態である単独測位だけでなく、測量にも利用されています。この
GPS測量は、GPS利用の中で最も進んでいる分野で、日本に限らず諸外国でも非常に早くから普及し、いろいろな方面で実用化されてきました。その理由は、GPSが測量や測地の分野での革命的な技術であると言っても過言でない大きな特質を備えているからです。
その特質は何と言っても
精度と利便性ですが、しかしもっと重要できわめて本質的なGPS測量の特質は、それが
水準面に無関係な測量であるということです。その結果、幾何学的にきわめて正確な測量ができます。しかしこの本質的なGPS測量の特質は、実際にはかならずしもありがたい特長とはいえません。というのも現在の地図は、水平位置は準拠楕円体に投影した経緯度で表しますが、標高はジオイド、すなわち水準面からの高さで表しているからです。そのため、ある程度以上の規模の精密測量ではいまだにGPS測量に平行して水準測量を行う必要があります。
コントローラーの操作中
地球物理学教室中庭での観測
また長距離を一飛びで測量できること、と同時に長期間の連続観測が可能なこともGPSの特長の1つです。このGPSが得意とする時間スケールや空間的広がりの大きさは特に、
地殻変動や氷床消長などの地球規模の現象の理解に役立っています。
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